コーダ あいのうたの感想

アカデミー賞「作品賞・脚色賞・助演男優賞」を受賞した映画で、日本では2022年1月21日に公開されました。
とても話題になった映画だったようです。

ええ、全然知りませんでした:汗

以下は、公式サイトの「あらすじ」を更に略したものです。

海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聴こえる。
陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から「通訳」となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。

新学期、クラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。
すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、名門音楽大学の受験を強く勧める。

だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと反対。
悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし…。

コーダ(Coda)とは、「Children of Deaf Adult's」(耳が聞こえない親の聞こえる子ども)のことです。

では、なるべく「ネタバレ」がないように、私なりの感想を書きます。

「作品賞」受賞は納得の映画

まず、率直に
「なんて愛が溢れる映画なんだ!」
と感動し、ボロ泣きしました(苦笑)

ただ「愛情」といっても、映画の中での「家族愛」という意味だけではなく、映画を観る人たちに向けたメッセージ力が強いという意味も込められた「愛情」です。

「耳が聴こえないから苦労が多いでしょうね…」という部分にフォーカスを当てるだけではなく、そこよりも「陽気にポジティブに生きる」フォーカスの方が強く感じました。
つまり、全体的に暗い感じではなく、明るい。

耳が聴こえていても、それぞれの家庭の事情や葛藤があるわけで、「同じような視点で観ることも出来る」とも思えました。

もちろん、コーダだから・ろう者だからの葛藤も描かれているので、理解も深まります。

「合唱部に入り、音楽大学受験へ」というストーリーであるが故、歌のシーンが多いですが、歌が実に素晴らしいです。

まず主人公ルビー(エミリア・ジョーンズ)の歌声が素晴らしい。
深みのある美しい歌声です。
(この映画を観てみたキッカケが、CM中に出て来たルビーの歌声でした。)

更に、場面に合った「歌詞」が歌を一層引き立ててくれました。

合唱部のハーモニーもこれまた素晴らしく、鳥肌立ちました。
サウンドトラックが、全般的に風景に合ったカントリー調になっていたので、スパイス的な要素がありました。
(田舎町の風景に合わせたカントリー調のサウンドトラックは、実に心地が良いです。)

映画のラストに向けて、視聴者を引き付ける(?)「演出」があるのですが、そこでの父親の素振りや表情に是非とも注目。
耳が聴こえていても、同じようなリアクションをするはずです。
ルビーの才能を確かめるために。

公式のあらすじには、「思いがけない方法で娘の才能に気付く」とありますが、
「いや、才能の可能性に気付くのは、その一つ前のシーン!」
と、あえてツッコミを入れます(笑)

そして「意外な決意」が、という部分になります。

両親と気丈な兄のそれぞれの優しさがあり、家族愛があり。
「周囲からどんな目で見られようが構わないじゃないか!」
ということを、改めて教えてもらいました。

もちろん、「変な目で見る必要ないではないか!」ということも。

こういう映画、もっと世の中に沢山あって欲しいなぁと思います。

補足

以下はちょっとした補足です。

・オリジナルは「エール」というフランス映画です。(ですから「リメイク」になります。)
エールも観てみましたが、こちらも良かったです。
ただ、2014年の作品なので、
「やはりコーダ(Coda)の方がより現代にマッチしているかな?」
と思いました。

・最後の手話(ハンドサイン)は「I really love you」です。

・両親と兄役の役者さんが、本当のろう者であったことに後で知って驚きました。

・実際の「コーダ」の方の映画評を聴いてみましたが、絶賛でした。
(「軽いお涙ちょうだい的な映画ではない」と。)
唯一、日本語字幕の残念さを述べていましたが、私が見た字幕は差別的な表記はなかったです。

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